砂漠の旅人(たびと)|新天地:たびとの旅路

電脳砂漠を旅する、ある旅人の日記。フロッピーを頼りに歩いた日から、クラウドの地平を見つめる今日まで。見つけたオアシスも、迷い込んだ砂の迷宮も、全てこの羊皮紙に。

砂に還るオアシス ~Kindle for Androidを救い出す、最後の旅路~

どうやら、一筋縄ではいかない砂の迷宮に迷い込んだらしい。この顛末を書き残しておくか。

2025年3月5日。我々が愛用していた「Windows Subsystem for Android」という名の豊かなオアシスが、砂に還るという衝撃の神託が下された。これにより、Windows環境で快適な読書を提供してくれた「Kindle for Android」が、利用できなくなる。800冊以上の書物をこのオアシスに預けていた私にとって、それは絶望的な宣告だった。

Kindle for PCは相変わらず融通が利かず、Kindle Cloud Readerはマンガ以外の書物には冷たい。途方に暮れた私は、WSAに代わる新たな安住の地を求め、再び電脳砂漠へと旅に出ることを決意した。これは、怪しげな蜃気楼と、一癖も二癖もあるオアシスを渡り歩き、ついに安住の地を見つけ出すまでの、苦難の旅の記録である。

この羊皮紙のあらまし

この羊皮紙が導く者

  • Windows Subsystem for Androidのサービス終了により、路頭に迷っているKindle愛好家
  • Kindle for PCやCloud Readerの使い勝手に、魂の底から不満を抱いている探求者
  • Windows上でAndroidを動かすという、禁断の錬金術に興味がある冒険者

候補となる二つのオアシス:BlueStacksとMEmu

砂漠を彷徨った末、私は二つの有望なオアシスを発見した。どちらもKindleの利用に問題はないが、それぞれに一長一短があった。

オアシスの名 評価 特徴
BlueStacks 堅実。書物を一括で読み込むため、最初の表示は遅いが安定している。
MEmu 軽快。WSAに近い先読み方式だが、日本語の看板が怪しい。
LDPlayer × 危険。他のオアシス(Hyper-V/WSL2)を破壊する呪いがかかっている。

LDPlayerは論外として、BlueStacksとMEmu。どちらが真の安住の地となり得るのか、両方のオアシスに足を踏み入れてみた。

第一のオアシス:BlueStacksの探訪

BlueStacksは、堅実で実直なオアシスだ。 インストーラを起動し、利用規約に同意すれば、迷うことなく辿り着ける。

BlueStacksの堅実な佇まい

Google Playという市場でKindleアプリを手に入れるには、Googleアカウントでの認証が必要だ。儀式を済ませれば、すぐにKindleのインストールが始まる。

市場でKindleを手に入れる

Kindleが起動したら、あとはAmazonアカウントでサインインするだけ。一つ注意すべきは、BlueStacksは本体とアプリ画面の2つが起動すること。タスクバーに並ぶ二つのアイコンに惑わされないように。

無事にKindleが起動した

第二のオアシス:MEmuの探訪

MEmuは、軽快だが少々怪しげな雰囲気が漂うオアシスだ。 インストール時には、ウィルス対策ソフトやOpera GXといった、不要な荷物を売りつけようとする商人が現れるが、全て「Reject」で断固として拒否する。

怪しげな商人は無視する

このオアシスは、看板の日本語がひどい直訳で、「始めます」のような奇妙な言葉で話しかけてくる。この違和感に耐えられれば、BlueStacksと同様の手順でKindleを導入できる。

怪しげな日本語の看板

唯一の追加儀式として、画面が勝手に回転しないよう、設定で「画面を水平方向に強制的に変更する」にチェックを入れておくことを忘れずに。

二つのオアシスの比較

どちらのオアシスでも、マンガの表示に差はなかった。しかし、小説(文字)の表示では、MEmuの方が僅かにフォントが大きく感じられたが、これは設定で調整可能だろう。

BlueStacksでの小説表示
MEmuでの小説表示

砂漠の守護神との戦い(トラブルシューティング

Windowsセキュリティという名の砂漠の守護神が、Kindleが書物をダウンロードするのを妨げることがある。その際は、「ランサムウェアの防止」の設定から、ブロックされたアプリを許可してやれば、守護神は道を開けてくれる。

守護神に通行許可を願う

羊皮紙を巻く前に

愛用していたオアシスが砂に還るという絶望から始まった旅だったが、BlueStacksとMEmuという、二つの頼れる代替地を見つけ出すことができた。

どちらを選ぶか悩むなら、安定性を重視するならBlueStacks、WSAに近い軽快さを求めるならMEmuといったところだろうか。ただし、MEmuの先読み方式は、稀に真っ白いページという蜃気楼を見せることもある。その点、一括で読み込むBlueStacksの方が、精神的な平穏は得やすいかもしれない。

もし、あんたがどちらか一つを選ぶのに迷うなら、私はBlueStacksをお勧めする。 この羊皮紙が、同じように安住の地を失った旅人の、新たな羅針盤となることを願う。

おっと、どうやら相棒が腹を空かせたようだ。今日はこのへんで筆を置くとしよう。

ラクダの独り言

ご主人が「おあしすが砂に還る!」とか言って、大慌てで別の砂場を探していたぜ。俺に言わせりゃ、砂漠なんてどこも同じ砂の上だ。一つの場所に固執するから、なくなった時に騒ぐことになるんだ。まったく、水さえあればどこだって天国だろうに。おっと、喉が渇いてきやがった。