砂漠の旅人(たびと)|新天地:たびとの旅路

電脳砂漠を旅する、ある旅人の日記。フロッピーを頼りに歩いた日から、クラウドの地平を見つめる今日まで。見つけたオアシスも、迷い込んだ砂の迷宮も、全てこの羊皮紙に。

我が仕事場に、理想の要塞を ~DIYで創り上げる、究極の作業環境~

旅の途中、興味深いオアシスを見つけた。忘れないうちに、この羊皮紙に記しておくとしよう。

テレワークという名の、終わりなき旅が日常となった。しかし、私の作業場は、会社へ赴くのが当たり前だった時代の、妥協に満ちた仮初の宿のまま。在宅率が上がるにつれ、その不便さは、もはや看過できないレベルに達していた。

既製品を買い漁る旅もあるだろう。しかし、真に我が魂にフィットする道具と出会える機会は稀だ。ならば、道がないなら創ればいい。最近始めたDIYという名の錬金術で、世界でたった一つの、私だけの「作業要塞」を、この手で創り上げることを決意したのだ。

この羊皮紙のあらまし

この羊皮紙が導く者

  • 現在の作業環境という名の拠点に、何らかの不満を抱いている者
  • DIYという名の錬金術で、自らの世界を創造することに興味がある探求者
  • 作業効率を爆上げする、魔法の道具(グッズ)に興味がある冒険者

冒険前の、不満だらけの我が拠点

これが、冒険に出る前の、私の作業場だ。一見、整っているように見えるかもしれない。しかし、その実態は、数々の妥協の上に成り立つ、砂上の楼閣だった。

現在の作業環境の写真
妥協に満ちた、冒険前の作業場

  • 下げられないモニター: 32インチ4Kモニターの前に鎮座するサブテーブルが、その自由を奪っていた。
  • 動かせないモニターアーム: 机下のケーブルトレーが、アームの最適な配置を阻んでいた。
  • 届かないデスクライト: 4Kモニターの巨体が、手元を照らすべき光を遮っていた。

要塞建築の儀式:ツーバイ材と突っ張りジャッキ

この全ての不満を解消するため、私は「壁面を使った棚」という、新たな要塞の建築に取り掛かった。 心臓部となるのは、ツーバイフォーの柱を、天井と床で強力に突っ張る「ウォリスト突っ張りジャッキ」という名の神器だ。

儀式の準備

ホームセンターで手に入れたツーバイ材という名の石材を、電動サンダーという魔法の道具で、その表面を滑らかに磨き上げる。

ツーバイ材を準備した写真
儀式のために、石材を磨き上げる

ワトコオイルという名の聖油を塗り込み、木材に魂を吹き込む。

ワトコオイルで塗装(チェリー)の写真
聖油を塗り込み、魂を宿らせる

要塞の建立

聖油が乾いたら、柱を立て、棚を組み上げていく。

棚の組み立て写真
二本の柱の間に、新たな世界が築かれていく

モニターアームを設置し、二つの魔法の窓を奉納する。しかし、ここで問題が発生。二つの窓の重みに、棚が耐えきれず、ぐらついてしまうのだ。急遽、L字金具から、より強固なツーバイ材による内側からの補強へと、設計を変更した。

ディスプレイ棚を補強する写真
試練を乗り越え、要塞はより強固になる

最終仕上げ

ケーブルトレイで神経網を整理し、デスクライトという名の灯台を設置すれば、ついに、理想の作業要塞は完成した。

ディスクライトを設置する写真
灯台が、手元を明るく照らし出す

羊皮紙を巻く前に

机の上がスッキリし、4Kモニターは理想の高さに、サブモニターはフラットに。そして、デスクライトは、照らすべき場所を、完璧に照らしている。かつて私を悩ませた、全ての妥協は、この要塞から消え去った。

やはり、自らの手で創り上げた拠点は、既製品では決して得られない、最高の使い勝手と、何物にも代えがたい愛着を与えてくれる。 電動サンダーが撒き散らす粉塵との戦いは過酷だったが、その苦労の先には、最高の報酬が待っていたのだ。

この羊皮紙が、同じように自らの作業環境という名の世界を、より快適なものにしたいと願う、未来の冒険者の助けとなることを願う。

風向きが変わったようだ。この機を逃さず、次の砂丘へと旅立とう。

羊皮紙の余白に書き足す

この要塞を築いた後も、私の旅は続く。120cmの机では、やはりこの二つの窓を活かしきれず、私はついに140cmのゲーミングデスクという、更なる新天地を求めることになるのだ。

砂漠で見つけた魔法のランプ

ラクダの独り言

ご主人が、何日も工房にこもって、木屑と塗料の匂いをさせていると思ったら、なにやら巨大な棚みたいなものを創り上げて、悦に入っている。俺に言わせりゃ、そんな立派な要塞を創る前に、俺の寝床の藁でも新しくしてほしいもんだがな。まったく、人間の情熱ってやつは、よく分からん方向にいくもんだぜ。やれやれだぜ。